【現地本部長日記】「保安院などは福島県へ」

掲載日:2011.06.16

経済産業省から保安院を分離するという方向性は、今回の事故を受けて当然の既定路線であり、またそもそも民主党の政権交代時の政策集にもそれをうたってあるわけですが、私は組織・機能を分離するだけではなく、この機会に保安院をはじめ、原子力発電の安全管理にかかわる国の任務の本部機能を全て福島県へ移転することを提案しています。その理由は以下の三つです。

第一に、起きてしまった、この不幸な大事故から今後生み出せる、ポジティブな流れの一つとして、福島県を原子力の安全行政、あるいは放射能に関わる医療などの研究・技術のメッカとしていくのも、一つの自然な流れではないかと考えるからです。

第二は、雇用・地域経済の活性化です。今回の災害・事故により、福島県全体の従業者数約91万人のおよそ4人に一人が職を失う可能性があるといわれています。千人オーダーで行政の拠点を移転させれば、福島県の経済の下支えをすることが可能となります。

そして第三は、リスク分散です。もともと福島県は、首都圏機能の移転の有力候補地でもありました。自然災害に強い国づくりとして、首都機能の分散が今改めて注目されています。行政関連機関を大胆に福島県へと移転することで、そうしたリスク分散を実現できます。

もちろん、以上は私の個人的な考えで、おそらく福島の方々は賛否が分かれるところではないかと思います。原発関連のいかなる組織も団体も福島県には入ってほしくない、こんなお気持ちの方もおいででしょう。また、ご賛同される方々でも、どこが有力候補地か、というのは色々なご意見があろうかと思います。福島県のご意見を尊重しながら、引き続き検討を行いたいと思います。

関連記事

記事はありません