【現地本部長日記】「まず中通り、まず子ども」

掲載日:2011.08.25

【現地本部長日記】「まず中通り、まず子ども」

除染関係の話を続けますが、昨日、ここ現地対策本部内に環境省や独立行政法人JAEAなどのメンバーよりなる除染推進チームが立ち上がりました。今朝の全体会議では、このチームがこれからの現場での住民支援活動の大きな部分を担うこと、そしてこの除染から始まって最終段階の放射性廃棄物の最終処分までが、特に環境省に頑張ってもらう活動強化部分だということ、を話させてもらいました(放射性物質の放出源の事故収束が川上部分の活動、撒き散らされた放射性物質の最終処分が川下部分の活動)。

二つキーワードも強調しました。一つは「中通り」。もちろん線量の高い地域といえば警戒区域と計画的避難区域なわけですが、重要なことはそれら区域には現在住民は住んでいないということ。いま毎日線量に不安を感じながら暮らしているのは、まさにそうした区域指定を受けていない地域でありながら、線量が低くない地域、それが中通りです。福島市や郡山市、二本松市、そしてホットスポットも見つかった伊達市など、そうした地域の比較的線量の高いお宅の除染を急がねばなりません。

二つ目のキーワードは、いつも申し上げている「子ども」。子どもが住めるところには誰でも住めます。子どもが戻れる場所なら、誰でも戻れます。除染は徹底して、子どもの視点から行うべきです。ですから、まず学校関係から除染をしたのは正しかったのですが、次に通学路の除染というのは必ずしも最優先ではありません。なぜなら通学路で”暮らす”子どもはいないからです。子どもが一番長時間を過ごすのは、なんと言っても家庭。つまり子どもの暮らす木造家屋の除染こそ、最優先なのです。

学校での児童の被ばくを年間1mシーベルト以下に抑えるという目標を達成するため、学校で毎時1μシーベルトを測定した場合には除染が必要、との考え方を間もなく文部科学省が示すようでが、福島市内で比較的線量の高い地域の26校で先行して行われた除染の成果は、学校の屋外が2.52μシーベルトから0.34へ、屋内でも0.39から0.16への、それぞれ大幅な線量の低下が見られ、1μシーベルトを大幅に下回っております。これ以上の更なる低減には周辺環境全体の除染が必要と思われますが、屋内に関しては校舎や体育館の屋根の除染を徹底すれば一層の低減が期待できます。当面、子どもたちにとって最も安心できる場所ということができると思います。

【現地本部長日記】「まず中通り、まず子ども」

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