【現地本部長日記】「東北大学の挑戦」

掲載日:2011.07.21

今日、福島市内で一般住民の方向けの講演会に初めて参加してみました。東北大学サイクトロン・ラジオアイソトープセンターのセンター長、石井慶造教授のご講話でした。「放射能とは何か」とか「どこまでが安全か」というお話はこれまでにも数多く行われてきたわけですが、これからは「除染」です。そして、今日のお話が大変興味深く、かつ恐らく多くの市民にとって明るい希望を持たせてくれる内容だった理由は、東北大学の具体的な取り組みの成功事例が示されたことです。

放射性セシウムが粘土に吸着し易い性質であることを利用し、校庭の表土を5ミリだけ削ぎ取るわけですが、ユニークなのはその後の汚染土の圧縮化です。汚染土に水を加え、かき回し、荒い粒子が沈殿した後(約30秒前)、粘土が沈殿する前に、上澄み液を取り去ることで、粘土と荒い土を分離。これを三回繰り返すことで、分離された放射能を多く含んだ粘土の体積は、元々の汚染土の8%までになり、かつ粘土以外の部分は元に戻すことが可能となります。

ちょうど今日、東北大学は福島市に事故対策本部の分室を設置し、今後この除染手法を広げていく活動をしてくださるそうです。このようなシンプルかつ安全な除染方法が目に見える成果を生めば、苦しんでいる福島県民には大きな希望となります。また、一番悩ましい汚染物の体積が圧縮されれば、処理の問題も大きく前進します。今後も様々な研究主体の挑戦を応援していきたいと思います。

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