| 一泊二日の人間ドックが終わった。感想は、結構ヘビーで大変。自分自身ももちろんだが、お世話になった医者や看護婦さん等にも同情したい。ご経験のある方にはわかると思うが、「人間の尊厳」というコトバが脳裏を駆け巡る体験であった。
今回の病院はそれでも評価はできた。かなり患者本位の治療ができている病院という印象を受けた。ひどいところはひどい。昨年私が下肢静脈瘤の手術をしたある大学病院は、まちがいなく医療過誤が起きると予感させてくれたひどさであった。それを周囲に話したら、その病院で同じような経験をした人が3人もいたのには驚いた。
10年以上前、米国に住んでいたころ、初めてアメリカの医療サービスを経験して強いショックを受けたのを覚えている。それまで慣れ親しんできた日本のそれとの違いに、である。その違いを一言で言えば、サービスが“患者本位”かどうかということだ。最近でこそ日本でも意識の高い病院や医者も増えたようだが、まだまだ医療がホテル業と同じサービス業という認識には抵抗の強い医者・看護婦も多い。私に言わせれば、健常者主体のカスタマーを扱うホテル業に比べて、いわゆる弱者主体のカスタマーを扱う医療サービスの方が、よほどきめ細やかなサービスの質を問われてしかるべきである。今回の私が感じた「人間の尊厳」ではないが、医療サービスを受ける患者は、落ち込んだり惨めになったりそんな状況に陥りやすい。だからこそ患者の気持ちに敏感に反応できるサービスが当然求められる。しかし、現実にはホテルよりも病院で不愉快な思いをする確率の方が圧倒的に高いのではないだろうか。他の患者からカーテン一枚隔てた場所で自分の病気の説明をしなければならないような医療や、医者の説明に患者が質問をしたりセカンドオピニオンを求めようとすると急に医者が不快な顔をするような医療は、一日も早く終わりにしてほしい。
もちろん米国の医療の全てが優れているわけではない。米国では、日本に比べ一人当たり2倍の医療コストがかかっている。また、医療過誤による訴訟の多さ、それによる医師保険の高騰などの問題もある。今後の日本の医療の課題は、これら他国医療の優れた面を採用しつつも、コスト増などをいかに抑制していくかである。それには、医療も一サービス産業であるという認識を新たにし、トヨタ方式など優れたコスト競争力を発揮する日本の他の産業分野から学ぶ姿勢が今求められている。
最後に私が読んだ医療関係の本のうち2冊を推奨したい。
『裸のお医者様たち』桑間雄一郎 ビジネス社
『医療再生』日本経済新聞社編 日本経済新聞社
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