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“安全性”の国境

イラクではなく、今日は薬の話である。今日の読売新聞一面 記事によれば、米国で使用されている抗がん剤の3割が日本では未承認なために使えないそうだ。薬の効果を調べる臨床試験や国の承認審査の体制が不十分なことが背景だという。

体制の問題、それにしても、である。そもそも、薬の安全性に国境はあるのか。アメリカ人にとっては安全でも、日本人にとっては安全ではない、あるいはその逆のケースである。まあ、絶対にないとは言い切れまい。しかし、だからといって、それぞれの国がそれぞれに試験・審査を済ませて承認しないとその国でその薬を使えないという仕組みは、どうも功より罪の方が大きい気がする。この分野について限って言えば、アメリカを信用してもいいのではないか。自国の通 貨発行権を放棄して、米ドル を自国に流通させようとするどこかの国の話なんかよりも、よほど実現可能性が高いように思うが。すくなくとも、病に苦しむ多くの患者にとっては、上述のようなケースによるリスクよりも、その“日本未承認”の薬から得られるかも知れぬ 利益の方がはるかに大きいはずだ。患者に選ばせればよい。日本での承認を待ちたい患者は、今のとおりにすればよい。待ちたくない患者には、未承認の薬であっても承認された薬と同様に、保険適用を認めるのだ。

だが、恐らくこれも、色々調べると面白いウラ事情が見えてくるのだろう。役所の利益とか、医者や薬業界との関係とか、そんな日本お決まりの事情が、事態の打開を阻んでいるようなニオイがする。7年前に癌で無くなった父も、ブツブツ言いながら、何ヶ月も保険のきかない高価な薬を使っていたのを思い出した。
 
   
2004年1月7日
田嶋 要
 
 


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