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イラク主権移譲

 

ここまでくると、正式な外交プロトコールも国内手続きもあったものではない。アメリカの意向に振り回されて、今月末のはずであったイラク暫定政府への主権移譲が昨日行われた。確かに、これだけテロが頻発していると、安全上の理由からは月末のスケジュールをはずすのも理解できる。ただ、主権移譲と新政府承認に引っ張られて自衛隊の多国籍軍への参加も手続き完了してしまったわけで、安全弁としての法治国家のルールが、大きな流れの中で全く機能していないという印象である。かつて日本が戦争に突入してしまったとき、(もちろん自分はその時代を生きてはいなかったが、)その時代を生きた人々も、そのような大きな流れに抗することの出来ない状況を感じていたのであろうか。まさか同じことが繰り返されるとは思いたくもないが、韓国民間人の虐殺をはじめ、もう誰もが止めてほしいと叫び声を上げたくなる状況が、あとどれほど続くのかと思うと、それだけで人間の愚かさに悲しくなる。「ソフトパワー」というコトバを最近良く聞くが、まさに昨今の状況を見るに付け、「テロに屈しない」という軍事力では平和はやって来ないのではないか、という思いを一層強くする。

 

 
   
2004年6月29日
田嶋 要
 
 


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