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選択肢

 

合理的な理由があるわけでもないが、私も温泉といえば白く濁った温泉が好みであ
る。無色の温泉より何となく身体に効くような気がするのだ。俄然有名になってし
まった白骨温泉は、聞けば私の親の世代にとってもあこがれのブランド温泉で、昨今
の調査でも、行ってみたい温泉の上位に常にランクインしている。私もまだ行ったこ
とはないが、いつかはと先日までは思っていた。

それにしても、改めて、人間とは何と愚かな動物であろうか。弱さか、浅はかさか、
はたまたずるさか。1000件を越える苦情が殺到しているそうだが、遅すぎる。命
運は三菱自動車と同じようなものであろう。消費者の信頼を裏切った経営は、市場か
ら徐々に退出させられる。これは市場の掟である。ただ、どちらの場合にも真面目に
取組んできた旅館従業員や工場労働者も大勢いたはずだ。彼等にとっては、理不尽な
試練である。

しかし、一般生活者の観点から見れば、民間部門が健全に機能している証でもある。
頭に来れば、我々は三菱の車を買わない選択ができる。白骨温泉に行かない選択がで
きる。それもこれも、世に他の選択肢があるからである。それに引き換え、嗚呼、官
の世界の理不尽さよ。選択肢の無い世界では、サービスの低下と人間の独善・傲慢さ
が全面に押し出されてくる。税も年金保険料も義務として強制的に持っていかれ、そ
の税や年金資金を官がどんな使い方をしていようが、我々にはなすすべがない。社会
保険庁も道路公団も、明らかに有権者、納税者の信頼を裏切っているのにもかかわら
ず、である。だから政治が大切、だから選挙が大切だと、諦めずに訴え続ける他はない。

 


 
   
2004年7月20日
田嶋 要
 
 


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