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先の韓国などの決断とは対照的に、人質殺害の脅迫宣告を受けたフィリピンが、イラクからの自国軍隊の撤退を行った。わずか数十人規模とはいえ、いわゆるテロ行為への対応としては初めてのケースである。恐らくフィリピンは、アメリカに対する依存度という意味では、日本の比ではないはずだ。自国経済・社会が脆弱であるがゆえに、アメリカとの友好関係は不可欠だ。にもかかわらず、アロヨ大統領は、国益を守る決断として、軍隊を撤退させた。アメリカを落胆させ、今後アメリカから脅しにも似た要求を突きつけられることもあるだろうが、それら可能性を全て飲み込んだ自立した決断に敬意を表したい。
ご存知の方も多いだろうが、フィリピンという国は外国への出稼ぎ労働者が700万人もいる。それらの多くがドルなどの通貨で稼ぎ、家族に仕送りをし、フィリピンの経済・財政を支えている。通貨危機の際にも余り打撃を受けなかったのは、この外貨のお陰だといわれている(自国通貨の下落による打撃がドル高で緩和される)。出稼ぎ先としては、アメリカ・香港・サウジアラビア・シンガポール・日本などが多いが、英語に堪能、器用で陽気で穏やかな気質の国民は、世界中で職を得ているのである。私が5年間住んでいた経験からしても、とにかく親戚に海外出稼ぎをしている者のいるケースは実に多い。つまり、フィリピン人にとっては、韓国人やそのほかの国の人に比べると比較にならないほど、今回のテロによる人質というのはわが身や自分の愛する人に起こりうる、身近な恐怖なのである。事ほど左様に、国の事情は各国様々である。いかなる場合にも、リーダーには国益に適った自立した判断が求められる。
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