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海外視察

 

先日、「読者からのご意見」欄に、議員の海外視察に関するご意見を頂いた。5億円以上のコストをかけて国会議員が海外視察に出かけるが、それに見合う情報公開や効果があるのか、という内容であった。海外視察と一口に言っても、3種類あり、国会議員として衆議院あるいは参議院から派遣されるもの(国が費用負担)、党から派遣されるもの(党が費用負担)、そして自己負担の視察である。たとえば、先日岡田代表が米国へ行かれたのは、党からの派遣であって、上述した5億円のコストには含まれない。また、私自身来月に中国に視察に出かけるが、このコストはすべて自腹(約20万円)である。ご指摘の視察というのは、一番最初のカテゴリーのもので、調べてみると確かにかなりの数の議員(一つの視察は5名程度)が、海外に出ている。その総予算は5億2千万円である。民主党はその内容を一部ホームページにアップさせてはいるが、十分な情報公開とは言えない。先日、追加情報を紙ベースで入手したので、ご希望の読者にはファックスでお送りすることもできる。

さて、派遣の効果の点であるが、これは評価が難しい。通常、費用対効果(たとえば、広告宣伝費と、それが売り上げに与えるプラス効果)というのは測定が簡単ではないが、中でも教育に類する投資の効果というのも、測定が困難だ。ただ、私の思いとしては、政治家という職業に就いている者、とくに国政を担う者には、国際感覚が必須であるということ。にもかかわらず、政治家という職業はややもすると地元活動、国内活動に忙殺され、国際感覚を涵養するチャンスがほとんどなくなるということを感じている。私も、民間企業、国際公務員時代にあれほど世界中を巡っておきながら、国会議員になってからは、英語での打ち合わせをたった一度行ったきりで、自分のパスポートの期限も知らないうちに切れてしまった有様だ。もっとも、国際感覚などというものは、そもそも議員になる前の人生で高めておくのが本来国政を担おうとするものの責任であるともいえるが、しかし、現実問題としてこれまでの政治家、国会議員となる典型的なキャリアパス(たとえば、地方議員や議員秘書から国会議員へ)を考えてみると、国際感覚を養うような機会を得ている人材は比較的少数である。まして、国際交渉を経験したことのある人材は皆無に近い。また、国際経験を多く積んで議員になったとしても、世の中の情勢は刻々と変化しており、たとえば今度私が視察に行く中国などは、やはり定期的に現場に足を運んでおく必要性を私は感じる。もっとも、派遣する人材を慎重に選定すべしという意見も聞こえてきそうであるが、それを言うならそもそも国会議員としての資質を慎重に有権者が評価して選挙をしないことには、問題の根本的な解決にはならない。

明治維新の前後に多くの志士たちが欧米を視察し、その素直な驚きが維新後の日本を形成したように、私は今の時代でも、今後の日本の進むべき道を考えるとき、海外視察(欧米先進国のみならず、途上国も含め)から得るものは少なくないと思う。歴史観(時間軸)が政治家に不可欠なように、世界観(空間軸)もまた不可欠だと思う。感受性を高めて、海外から多くのものを吸収して帰ってきたい。

 
   
2004年8月27日
田嶋 要
 
 


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