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全面広告

 

最近、二つの全面広告が新聞に載った。一つはヤマト運輸が出した、ローソンと日本郵政公社の提携に関連した見解発表の広告、もう一つは、ソフトバンクが出した携帯電話料金に関する意見広告である。偶然、どちらも私が所属する総務委員会の関連である。ヤマト運輸もソフトバンクもベンチャーマインドで規制産業に挑戦する企業という意味で、共通の構図でもある。また、前者に関しては、今度の臨時国会の中心課題の一つが恐らく郵政公社の民営化の動きに関するものであり、公社としての改革の進捗度、民営化を既定路線として進める政府の姿勢、官業による民業の圧迫の可能性、ユニバーサルサービスの必要性、雇用確保、など様々な角度からの議論が今後本格化しよう。

それらの広告の主張の是非は当然慎重に検討されるべきであるが、重要なことは、様々な立場の関係者の主張に注意深く耳を傾けることであろう。一方だけの主張を聞くだけでは、どんなに精緻な説明のように思えても、どうしても人間の見方は偏ってしまうものである。たとえば、今回のソフトバンクの広告には、携帯電話の年間利用料金(ARPU)の各国比較グラフが載せてあり、日本の料金が世界一高いことを示している。「ああ、そうなんだ」と素直に信じてしまう人も多いだろうが、海外の動向を知る利用者は、「でも、たとえば付加価値の高いデータサービスは、韓国とかイギリスとかではまだ日本ほど普及していないのではないかしら」という素朴な疑問を抱くだろう。私も月3万円くらいの支払いをしているが、そのうちのかなりの部分がデータ通信である。もちろん、「それを差し引いても日本の料金は割高だ」という正当な主張なのかもしれないが、ならばそれを具体的に示そうとするグラフに素朴な疑問が出れば、読者の共感を得にくくなってしまう。現に、そのグラフの下には、小さい字で「加入者あたりの利用料金の定義は各社ごとで若干異なるため、数値を必ずしも同列に比較することはできない。」という一文があった。すこし、ズッコケタ。

まあ、いずれにせよ、主張というものには主観が入るものだ。先の参議院選挙の時に、自民党が全面広告で民主党の年金案を徹底的に批判したが、民主党はその見当違い、誤解に基づく批判には全く応じず、党としての主張を真正面から説明する全面広告を出した。要するに、主張が偏っていることが問題なのではない。主張は偏るものだ、という前提で、いろいろな主張、意見、批判に耳を傾ける読み手、聞き手の姿勢が重要なのである。



 
   
2004年9月6日
田嶋 要
 
 


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