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転落の歴史

 

「転落の歴史に何を見るか」(ちくま新書)という本を読んだ。日露戦争最大の陸
戦である奉天会戦からノモンハン事件までの時代を振り返ったものである。なかなか
面白かった。興味ある方には是非ご一読頂きたい。この本のメッセージの一つは、わ
ずか30年程度の年月の移ろいの間に、時代を引っ張る世代が交代し、人間の意識や
社会規範がいかに激変しうるものかという点である。これは、良い意味においても、
悪い意味においても。奇跡の大勝利を収めた日露戦争の時代を引っ張ったのは激動の
維新前後をくぐったジェネラリストの元勲らであり、そして、大正時代に入る前後に
彼等は全てこの世を去る。そして次の時代は、軍事エキスパートとしての教育を受け
た世代が、日露戦争とは似ても似つかぬ誤った判断を重ねて、敗戦への転落の歴史を
生んでしまった。もちろん、この著書の関心も、このような過去の分析それ自体より
も、この“転落の歴史”をこれからの日本にどう生かしていけるか、ということであ
る。そして著者の主張は、団塊の世代、新人類、そしてその狭間の“名無し世代”の
それぞれが、それぞれの特徴を生かして日本再生に取組む役割を持っている、これか
ら(2002年時点から)の10年が正念場だ、と結んでいる。

実は、この著者の齋藤健さんは私のワシントンDC時代の仲間の一人である。44歳。
私と同じ、“名無し世代”である。そして、先日、大抜擢で突然、経済産業省の官僚
から埼玉県副知事になった。少なくとも首都圏では最年少の副知事らしい。私は小躍
りした。能力のある若手を「大」抜擢するということが、民だけではなく官の世界で
も始まったと感じたからだ。明治維新のような時代の大きな節目に、いよいよ危機感
と決断力が高まってきたということである。2年前にこの著書で訴えた本人が、日本再生         に 取り組む大きな舞台を得たのだ。ただ、少し残念でもあった。齋藤さんには、千葉方面               にも目を向けて欲しかったからだ。つまるところ、この先日本がどうなるか、全ては人材                 次第である。東京や神奈川、埼玉に負けぬよう、千葉も加速して改革を進めねばならない。

そして来年春には、千葉県知事選挙と千葉市長選挙が行われる。



 
   
2004年9月7日
田嶋 要
 
 


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