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犬吠駅

 

ある支援組織の集会に出席するため、生まれて初めて犬吠崎に行った。千葉の東端、 “最果て”と呼ぶのはややオーバーかもしれないが、そこには自分の選挙区とは全く 違う千葉があった。町じゅうが汐の香りである。コテコテの保守の地盤だという。千 葉県の大きさ、「日本の縮図」千葉県の多様さを実感させられる瞬間である。聞け ば、この犬吠崎に行くために降りる犬吠駅には面白いエピソードがあった。少し手前 の銚子駅までがJR。そしてそこから犬吠駅までが銚子電鉄。この私鉄がローカル線の ご多分に漏れず赤字続き。そして9年前に藁をも掴む思いで始めた副業が、あの「銚 電のぬれ煎餅」なのである。醤油の町、銚子のイメージとも重なり、これが大当た り。売れに売れて、今や一日1万5千枚、本業の運賃収入の二倍の売上だという。

まったくスカッとする嬉しい話ではないか。ローカル線を守り抜きたいという民間会 社の社員やファンの執念の賜物であろうが、このような必死の思いがあれば、人間は 知恵を出し、情熱を持ち、そして努力を惜しまない。今から9年前、まさに失われた 10年の真っ只中に、ほかならぬ千葉県の中にもこのような素晴らしい起死回生のプ ロジェクトXがあったのだ。知恵と情熱と努力。まさに今の千葉と日本に求められて
いるのは、ぬれ煎餅の心意気なのである。

土産に買ったぬれ煎餅はうまかった。電子レンジで「チン」したら、それもまた良かった。



 
   
2004年9月10日
田嶋 要
 
 


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