私がワシントンの世界銀行グループで投資官として仕事をしていた2001年頃、旧ソビエトの影響下にあったエストニアという国で、国営セメント工場に対する環境関連のプロジェクトファイナンスの投資後調査をした時期がある。ソビエトの古い技術によるその工場は当時その国の大気汚染の最大の元凶であり、
私が工場視察のために町に着いたときにも空から細かいセメントの粉が途切れることなく降っていて、ゾッとした思い出がある。
町の多くの住民が喘息に苦しんでいた。
そんな技術を提供していたロシアが、遂に京都議定書を批准することになった。7年越しの難産であった。米国が力の入っていないCO2削減の取り組みに関して、これでようやく最初の一歩が踏み出されることになる。まずは歓迎したい。ロシアも最近は暗いニュースが続き、最近では中央主権を強化すると発表して米国から懸念を表明されたりしているが、そのイメージ払拭という意図もあったのであろう。しかし、いずれにせよ先日の中国の備長炭の輸出禁止と並んで世界の大国が環境に関する思い切った決断をすることは、人類の未来に希望をつなげてくれる。
確かに産業界は環境税のことを心配している。企業の活力を削ぐおそれがあるからだ。それは十分に理解できる。そもそも新しい税の導入に反対が起きない場合は無い。だが、おそらくは多くの国民の感覚としても、環境問題のこれからの重要性、そして環境税なるものが、具体的な制度設計はともかく、時代の方向としては正しいだろうということを直感的には感じているのではなかろうか。負担が増える話であっても、現に消費税の引き上げに関しても、私が話したほとんどの有権者は、やむを得ないという感想をおっしゃる。その辺、有権者はけっこう冷静なのである。今後、国会でも環境税の議論が本格化することになろうが、産業界とも十分な議論を尽くして、環境と経済のバランスの取れた政策実現をしていく必要がある。
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