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プリペイド携帯電話

 

1995年から5年弱の間私はフィリピンに赴任しており、今では業界第一位となったスマート社という携帯電話会社の経営に参画していた。実はこの会社はベンチャーで、NTTによる同社への資本参加プロジェクトを私自身が最初から最後まで担当をした、懐かしのプロジェクトである。そのご縁でフィリピンの過去3人の大統領(ラモス、エストラーダ、アロヨ)にも、それぞれマラカニアン宮殿やご自宅でお目にかかる機会を得た。手前味噌であるが、NTTの海外投資案件としては、今でも最も成功しているものの一つと理解している。後発の通信ベンチャーで当初はマネジメントも確立していない本当に小さい会社であったが、優れたマーケティングによりグングン業績を伸ばした。デジタル技術に慌てて飛びつくことを避け、フィリピンの経済ステージに合ったアナログサービスをまず普及させ、またいわゆる通常のポストペイド(通話料後払い)に加えてプリペイドを成功させた。いまやフィリピンの携帯電話といえば、プリペイドが主流となっている。

そんなプリペイドの携帯電話が、日本では禁止される流れになってきた。朝日新聞によれば、自民党が議員立法で禁止していく方針を決めたということだ。また、業界最大手のNTTドコモ社長が、先月の社長会見で、廃止も含めて検討していることを明らかにしている。先日の日記にも書いたとおり(http://www.k-tajima.net/diary/041006.html)、犯罪の多発と検挙率の低下が大きな社会問題となっている現状を鑑みれば、私もプリペイドに対する何らかの規制を強化するという方向性には原則的に賛成の立場である。たまたま見つけた「悪用する側の証言」というサイトによれば、「プリペイド携帯と口座は違法な金もうけのための必需品」ということなのである。

なぜプリペイドがこれほど普及したのかというと、まずはその割安さである。毎月の基本料金というものが無いため、割安感が強く、とくに着信通話が多い人には有難い。日本ではドコモよりもKDDIの方が圧倒的にプリペイドの契約者数が多い(他社は契約者数を発表せず)。ただ、私のフィリピンの経験からも、その割安感故に途上国では、今後このような規制無しには、プリペイドが主流になってくると考えられる。プリペイドが無くなれば携帯電話を持てない所得層の大きい開発途上国では、今後犯罪防止か一旦手にした利便性の維持かという、日本よりもさらに難しい政策判断を迫られることであろう。


 
   
2004年10月20日
田嶋 要
 
 


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