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変化率

 

 一種のブームにもなってしまっている感がある。七輪を使ってのワゴン車での集団自殺が後を絶たない。ネットで知り合った面識の無い若い男女というのが大きな特徴である。これもまた現代社会の病理現象の一つであろうか。

 問題の本質は、明るい未来を描けない今の社会にあるのではないか。重要なのは、今時点の絶対水準ではなく、昨日から今日、今日から明日へのプラスの「変化率」なのである。様々な意味で、その「変化率」が実感できれば、人は人生に何らかの意義を見出しやすい。しかし特に若い世代は、生まれた時から物質的には全てが満ち足りていて、皮肉なことにだからこそ「生」にハングリーである必要がない。つまりこの「変化率」を感じにくい。途上国の人々や、あるいは日本でも震災に見舞われた地域の人々は、そのご苦労と反比例して「生」が強くなるのであろうが、集団自殺をする日本の若い方々にとっては、「生」が実感できず、そして生から死へのハードルが非常に低くなっているのではないか。

 しかし、冷静に周りを見渡せば、世の中には色々な苦労をしている人々がごまんといる。若い世代がそういう人々の存在に気がつき、社会での自らの役割を見出すことができたなら、もう少しポジティブに自分の「生」を捉え直すこともできるのではなかろうか。ネット社会が進んで、多くがバーチャルな世界で完結できるようになってきてはいるものの、そういう時代だからこそ、リアルな現場の価値は高まる。社会の多様な現場で多くの人々と出会うことしか、このような社会現象の究極的な解決策はないのであろう。

 

 
   
2004年11月30日
田嶋 要
 
 


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