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トレーニング

 

友人でもあるアメリカの医者から聞いた話だが、アメリカでは色々ある専門分野の医
者のうち、眼科医が人気なのだという。その理由は、自分の担当する患者が亡くなる
可能性が高くないからなのだそうだ。医療過誤で医者が訴えられるケースが多いアメ
リカらしい話である。日本ではまだそんな状況にはなっていないのだろうが、しかし
一般論として人の命を預かる医者の仕事は、普通の仕事とは比較にならない大きなス
トレスがあるだろうことは想像に難くない。

新宿の東京医科大学病院で、同じ外科医から心臓弁膜症の手術を受けた患者が四人も
相次いで亡くなったという。その医者の上司に当たる主任教授の、「トレーニングと
して経験を積ませようと思った」という発言には強い違和感を覚える。最近、医者の
仲間内では「患者を3人死なせれば、一人前だ」などというとんでもないことを言っ
てのける者もいるという話をどこかで読んだが、まさにそれを地で行くような話であ
る。

確かに、どんな分野の仕事でも、最初は初心者である。これには例外がない。経験を
積んで、徐々に技量を上げて行くことは医者の世界でも同じだ。一方、患者は常にベ
ストな結果を望むわけだから、経験の少ない医者はたとえベテラン医師の指導下とは
言え、本当に大変な心労があるのであろう。しかし、だからといって患者が命を落と
すこともやむ無しというような意識が医者の側にあるとすれば、それはおかしい。今
回の東京医大のケースは最悪のケースだと信じたいが、これから本格化する医療分野
の制度改革の中では、医療サービスを受けて命を落とす方々を一人でも減らすような
政策も実現して行かねばならない。

 

 

 

 
   
2004年12月13日
田嶋 要
 
 


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