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激変緩和

 

民主党の政調会長、仙谷さんには若干失礼な話かもしれないが、今日の衆議院予算委員会での仙谷さんの質問を聴いていて、まるで私自身が地元で言い続けていることを党としてはっきり言っていただいた、というような溜飲が下がる思いがした。少子化に対する危機感を強め、子育て家庭を応援する明確なメッセージを予算で打ち出すべきだ、そして教育こそがわが国を究極的に立て直す最も重要な政策分野だ、という二点である。特に前者については、政府予算案の昨年比6%増などという微増ではまったく危機的状況に対応できず、一世帯年間40万円とか100万円とかのオーダーでの大胆な子育て家庭支援策を実行してゆく、そのために4兆円以上の予算を組むことを提案していた。

こういった政策を実施した例がエストニアという欧州の小国だという。大胆に予算を組み替え、子育て家庭に大きな支援金を提供した結果、合計特殊出生率が大幅に改善を見たということだ。もちろん、エストニアと日本とでは国の大きさも違う。また、高齢化社会の進展とともに、高齢者向けの政策を見直すことは政治的には苦痛を伴うものであろう。しかし今日の社会の様々な負の連鎖を断ち切るための一つの有力な取っ掛かりとして、明確に子育てを財政面で支援し、教育や防犯や食の安全や街づくりといった、子供を持つ親の関心が高い他の様々な政策分野にも正の連鎖を作り出すことは検討に値するのではなかろうか。親たちがそれぞれの人生を終えた後に残される子供らの数が増えれば、自ずとそれらの政策への取り組みにも力が入ることになろう。

ただ、ひとつ限界もある。現在の合計特殊出生率1.29を、上記の大胆な子育て支援によりエストニアのように改善させたとしても、なかなか2.08を超えるのは難しい。理論上、人口は2.08以上の出生率を実現しないと増えないのだ。日本も(丙午の年を除いて)70年代途中まではそうだった。そして現在、先進国では唯一米国がそれに近い(2.01)が、一ケタ台に下がった出生率を国の政策によって2.08以上に回復させた例はどこにもない。そして、2.08より低ければ、単に人口減少のスピードを遅くするに過ぎないのだ。特殊出生率の低下はアジア諸国をはじめ世界的な現象だという。その意味で、様々取りうる子育て支援策も、激変緩和というのが現実的な目的ということになろう。もちろんそれが重要でないと言っているのではない。公的年金制度に象徴されるように、せめて人口構造の“急激な”変化を抑制できれば危機的な状況を緩和・回避できる政策課題は少なくないからだ。

 
   
2005年2月2日
田嶋 要
 
 


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