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支配権

 

昨年はプロ野球参入で目立ったが、今度は敵対的企業買収である。ホリエモンことライブドア社の堀江さんが今フジテレビの日枝さんと火花を散らしている。日本ではあまり今までにないことなので、多くの人がドキドキしながら行く末を見守っていることであろう。

それにしても、堀江さんのテレビでの発言を聞いていると、まあ彼の個性なのであろうが日本の風土の中で大丈夫かなという危うさを感じるのは、前回のプロ野球のときと同じである。あの時も私は最初から楽天三木谷氏に軍配を上げたが、いたずらに人を刺激するのは戦略的に賢明ではない。たとえば「支配権」という言葉。フジサンケイグループの支配権を目指すなどということを言うものだから、フジテレビ側の態度が極度に硬化している。そもそも堀江さんの発言はすべて米国MBAで学ぶファイナンスの世界のセオリーを述べているに過ぎない。それはそれで正論である。ただ英語では普通に使う51%以上のマジョリティー株主、コントローリング・シェアというのも、そういう世界に馴染みのない人が日本語で「支配権」などと言われると、どうも寝た子を起こすようなことになる。「支配権をめざすような人間と提携の話をするなどありえない」という日枝さんの発言になってしまうのである。

実は私もビジネスの世界にいたときにこの敵対的買収を経験した。私がいたフィリピンのベンチャーのオーナーが、フィリピン最大の電話会社に株式公開買い付けによる買収を仕掛けたのだ。だが、形は敵対的であったはずなのに、そのオーナーは買収される側のオーナーの立場を最大限尊重し、買収は平和裏に成功。今ではフィリピン最大の企業グループの一つになった。その人の名はマニュエル・パンギリナン。フィリピン人だがかつて香港で最も稼ぐ男と言われ、フィリピンの大統領候補にも名前が挙がる人である。


 
   

2005年2月15日
田嶋 要

 
 


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