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昨今の報道で用いられる言葉のランキングがあるとすれば間違いなく「TOB」と「ハゲタカ」
は上位に来るだろう。しかしながらこの二つの言葉は正しく用いられているとは私には思えない。
まず、TOBという言葉。ご存知の方々も多いと思うがこれはTake Over
Bidの頭文字を取った
言葉で、企業買収の際に株式を公開買い付けすることである。今回、フジテレビはニッポン放送
株に対してTOBを実施し、先ごろそれが成功したと発表した。しかし、TOBとはTake
Over、つま
り会社の支配権獲得のためにやることであり、40%弱の株式取得をもって終了した今回のTOBは
本来はTOBとは呼べないものである。フジテレビが今回の株式公開買い付け(TOBではなく、あえてこう呼ばせてもらう)で手にしたものは単にライブドアのニッポン放送経由でのフジテレビへの
支配を遮断することに成功したというものであり、本来の意味でのTOBには失敗したというべき
であろう。しかも、フジはフジサンケイグループの「資本関係のねじれ」を解消し安定したグループ
資本関係を達成するために公開買い付けを開始したはずで、その目的も達成されてはいない。
(余談だが、フジテレビは今まで自社の報道番組で今回のライブドアの件を扱うことを自主規制していたのに、公開買い付け終了と同時に扱いを始めているが、これは「公共の電波」を扱う「社会の公器」としての放送局のあり方としていかがなものかと思う。又、フジの買い付けに応じた会社は市場価格よりも随分低い価格で応じているが
本当に株主代表訴訟を起こされた場合に耐えられるのだろうか?私は「株主に説明できる経済的合理性がない」という理由で応じなかったトヨタの判断が普通だと思うのだが・・)
一方の「ハゲタカ」である。昨今の報道を見ていると外資系金融ファンドをハゲタカと称してネガティブなイメージで取り扱っているものが多いが、本当にそうなのか?確かに旧長銀を買ったリップルウッドのように8兆円にも上る多額の公的資金(税金)を投入したものをたった10億円で購入し、2000億円以上ものリターンを得た例があるのは事実である。しかし、彼らは別に法を犯してそうしたことをやったのではない。誰も交渉に乗らなかったものを、自らリスクをとって再生させたのであり、責められるべきはそれを理不尽な条件で許した金融行政と時の自民党政府である。昨今の産業再生事例を見てもそうである。破綻させたのは旧経営陣の過失であり、それをリスクをとって投資し再生するというのは資本主義社会における普通の自浄プロセスなのである。少なくとも資産価値を向上させているという点で「ハゲタカ」などという死屍を食い荒らすイメージでひとくくりに面白おかしく定義づけされるのはお門違いとも言える。
もうおわかりであろう。言葉をその定義通りに用いるならば、日本という国にとって本当にハゲタカと呼ばれるべきは、実は公的資金という名目で国民の血税をムダ使いし、そのあげく国民の大事
な共有・私有資産の価値を下げ続けている今の官僚主義・自民党政治なのである。特別会計という不可思議なポケットを使って国家財政を危うくし、将来の潜在的国民負担を増やしているのは誰か?年金財政を危機に晒したのは誰か?金融行政に失敗し、多額の税金を投入する結果を招いたのは誰か?ODAを垂れ流し、そのあげく外交上の日本の国益の向上にほとんど寄与しない状況をつくったのは誰か?そう、私達にとっての本当のハゲタカは外資系金融などではないのである。今、私たち民主党がやろうとしているのは本当の意味で政権獲得を目的とした政治的なTOBである。この国に巣くう正真正銘のハゲタカから豊かな国を取り戻す、真のTake
Over Bidである。そしてこのTOBには誰でも参加できる。そう「選挙」という名の「公開買い付け」を通して。
(更に余談。上記の原稿を書いた後に「当初来年から解禁予定だった外資企業が日本企業を買収する際に株式交換方式を用いることを自民党部会が更にもう一年凍結へ」というニュースが入った。自分達のハゲタカぶりを差し置いて外資企業をハゲタカ呼ばわりする自民党の不見識さにはあきれてしまう。繰り返すが日本人にとって真のハゲタカは外ではなく内にいるのだ。)
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