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NHKのこと

 

 昨年国会で総務委員会に配属されて驚いたことの一つが、国会でNHKの予算を毎年かなり時間をかけて審議しているということだった。まあ、法律でそう決められているのだから実際には不思議でもなんでもない。理屈はそうなのだが、それでも、あまたある日本の法人組織の中にはもっと国会がチェック機能を果たすべき怪しい組織が山ほどあるというのに、どうしてNHKのことに国会が労力を費やすのだろう、という思いは拭えない。NHKのことをやるぐらいだったら、虎ノ門あたりにごろごろしている特殊法人群をやったほうがよほど国民の血税を守るために価値があるはずだ。実際のところ、毎年のNHK予算審議は比較的すんなり承認されてきたようだ。法律で決められているとはいえ、あまり有意義な国会の時間の使い方とは思えないが、NHKで毎年審議風景が放送されるのが慣例なので、皮肉にも委員の出席率だけは非常に良いようだ。

 そんなNHK予算審議が今年は全く例年と様相を異にした。今日開かれた衆議院総務委員会では、民主党はじめとする野党は予算案を承認しなかった。過去にあまり例のないことだ。NHKには不祥事が続発した。しかし、今回の審議の結果、公共放送としての自覚を新たに一から出直して視聴者の信頼を取り戻そうとする経営陣の覚悟が伝わってこなかった、というのが不承認の主たる理由だ。受信料の支払い拒否件数も当初予測を大幅に上回り、今年度末(来月末)には70万件に達すると見込まれている(総受信者数の約2%)。昨年7月に発覚した不祥事直後、9月の段階では、大体3万件ほどであったから、視聴者のNHKに対する怒り、不信感が頂点に達し、なお日々悪化していることが想像できる。

 さて、これからもNHKは漂流を続けるのであろうか?お隣が払っていないのを知って、真面目に支払っているのが馬鹿馬鹿しくなる人は“等比級数的”に増えるのではないか。受信料拒否が100万件を超えるかもしれぬ。そうすれば、いよいよ新たな算段をしなければ、NHKの経営が危うくなるであろう。BBCのように受信料支払い拒否に罰則を設けることは今の国民感情からいって現実的ではないし、かといって国営化して税金投入というのでは時代の流れに逆行、かつ政治との距離が心配だ。やはり考えられる現実解は、電波にスクランブルをかけて対価を支払う意思のあるNHK視聴者を明確に技術的に峻別・捕捉することなのであろう。地上波デジタルでもBSでもスクランブル自体は技術的には今でも既に可能とも聞くから、今回の予期せぬ激震のお陰で、検討の時期は意外と早まるかもしれない。

 まあ、いずれにせよ、視聴者と「受信料」という形で直接つながっているNHKという組織は、実はある意味「幸いなるかな」である。国民、視聴者の怒りが直接組織を脅かすがゆえに、どん底にあってもやがては自浄作用が働くからだ。そうしなければ、もたない。他方、税金を自分の金のように使いまくる官の組織は、NHKのように国民、納税者が直接痛烈なパンチを加えることができない。結局そこに戻ってくる。やはり、日本国の問題の核心はそこにあるのだ。

 
   

2005年3月15日
田嶋 要

 
 


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