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不作為の罪

 

 「不作為」つまりは「当然やるべきことをやるべき時にやらなかった」ということである。本日、薬害エイズ事件「厚生省ルート」で、業務上過失致死 罪に問われた元厚生省生物製剤課長、松村明仁被告の二審判決が出た。この判決の意義はふたつある。ひとつは官僚が個人で刑事責任を問われたということ。もうひとつは何か間違ったことをやったからという作為的な行為の是非を問われるのではなく、 適切な職務権限の行使を怠ったという不作為の責任を認定したという点だ。

 前者の個人責任についてだが、民事上の賠償責任については最高裁で既に「行政庁全体が負う
もので個人では負わない」という判断が出ている。賠償責任は官庁として負うが、刑事責任は個人で負うというアンバランスを今後最高裁がどう整合性をとるのかが注目される。(本来は国家賠償法という法律で一旦は行政庁が賠償責任を負うが、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有するとされているが、故意重過失の認定の難しさからか、実際には行政庁が税金をもって賠償するところまでしかやられていないようだ。)

 後者の不作為については厳しすぎるという意見もあるだろうが、事が国民の生命・健康にかかわる官庁であるが故に厚生省(現厚生労働省)とその職員に高い意識と責任を求めるものとして私
は評価したい。「やって何か言われるくらいならやらないほうがまし」という事なかれ主義では困る大事な領域を所管しているのだから。先日の米国産牛肉輸入再開についての日記(http://www.k-tajima.net/diary/050318.html)には数多くの反響をいただいた。やはり食の安全と健康面の安全対策には国民の関心も高いはず。関係省庁と職員にはその職務の重責に敬意を表しつつも、一方でこの判決を通してより一層高いモラルで自分を律することを期待したい。

 
   

2005年3月25日
田嶋 要

 
 


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