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解散、総選挙の決定と前後して、「たじま要は郵政民営化に賛成か反対か」という趣
旨のご質問を沢山頂くようになりました。そもそも郵政改革というのは、過去の様々
な調査結果によれば、国民が重要国政課題と考える政策分野のトップ10にも入って
こないような改革でしたが、一方で民営化への賛否は若干賛成が多いという状況で推
移していました。今回の選挙の争点は決して郵政だけではないとは思いますが、郵政
法案によって解散・総選挙となったからには、ここで改めて郵政改革に関する私個人
のスタンスを明確にする必要があると考えます。マスコミによく聞かれるように「賛
成か、反対か」のような単純な構図ではないのですが、以下に私の考えを箇条書きで
記します。ご意見をお寄せいただけると幸いです。
(要旨)
・現在の郵政公社の事業のうち、郵便事業(窓口ネットワーク)については民営化に
はなじまない。(公社体制のまま、民間企業の参入による競争を促進)
・郵貯・簡保の金融事業については金融市場の混乱を避けるため、まずは名寄せ、預
け入れ量上限引き下げ、政府保証の撤廃により預金者の民間金融機関への自主的な資
金シフトを促し、そうしたダウンサイジングの後に民営化を図る。政府はその間に歳
出削減と国債依存度低下に努め、国債引き受け機関としての郵政依存度を下げる。
(詳細)
・郵政公社の本質は金融事業である。従って郵便事業と金融事業とは峻別して考える
必要がある。従って、このような異なる性格の事業が混在する郵政公社の民営化に
「賛成か、反対か」は、もう少し正確な議論をする必要がある。
・郵便事業は現在、黒字経営であるが、累積赤字もあり長期的には先細りが避けられ
ない。しかし、どんな田舎でも郵便局は極めて大切である。従って、国が責任を持っ
て運営をすべきであり、今後も民営化にはなじまない。もっとも民間の参入は可能と
すべきであり、現在の郵便ポスト10万本というような高い参入障壁は見直されるべ
きである。ちなみに、日本に郵政公社の民営化を促し続ける米国でも、郵便事業は国
営である。
・郵貯と簡保という金融商品を持つ郵政公社の金融事業に関しては、本来民間の補完
的役割を果たすべきであり、今後もその役割は官の責任で維持されるべきである。し
かし現在の340兆円という資金量は、補完的役割とはとても言えない巨大さであ
る。4大メガバンクの資産を足し合わせ、全ての保険会社の資産を足し合わせたに等
しい郵政公社の金融部分を、今の状態で民営化することは、民間の金融業界に大きな
混乱を招く。従って、郵貯と簡保はまず公社のままでのダウンサイジングを急ぐべき
であり、その正常化プロセスが完了した時点で、民営化すべきである。つまり、その
時点ではもはや官がその金融事業を行う理由がない。
・ダウンサイジングの手段としては、名寄せと預け入れ上限の引き下げ、政府保証の
撤廃が考えられる。郵貯は法律上では一人上限1000万円という制約があるが、こ
れはザル法となっている。過去、累次に亘ってこの上限を引き上げ、また富裕層が一
人で何口座も所有することが横行してきた。これが官へのお金の流れを肥大化させて
きた一因である。従って、名寄せをしっかり行い、預け入れ上限を例えば300万円
とか100万円とかに引き下げることにより、入り口としての官のお金を大幅に小さ
くすることが可能である。
・「お金の流れを官から民へ」というのは正しい。それを実現するためには、上述の
入り口の官に入るお金を小さくすること、と同時に出口の特殊法人改革、特別会計の
改革、また財政投融資改革を急がねばならない。官の資金需要の拡大が、国債発行の
増大となり、その25%を肥大化した郵政公社資金が買うという構図がある。官の資
金需要自体を小さくしなければ、「お金の流れを官から民へ」という目的は達成でき
ない。もちろん、同時に民の資金需要の創出、そのための景気回復が大切であること
は言を待たない。
・財政投融資の関係では、既に2001年からの改革で、郵貯、簡保の資金の全額預
託義務は無くなっている。しかし郵政公社資金の80%は今なお国債で運用されてい
る。公社の意思として、市場から買っている。つまり、民営化してもこの国債運用は
続くのである。国債運用額を引き下げることは政府の判断で可能であるが、国債管理
政策の観点からは、急激に運用額を引き下げることはできない。金利上昇、価格暴落
を惹起する危険性があるからである。つまり国の借金自体を減らすより、根本的な解
決の道はない。
以上
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