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久しぶりに慶応大学教授の榊原英資先生の講演を聴いた。これも古くて新しいテーマである。偶然であるが、昨日の党首討論で、前原代表が「民主党は自民党と“小さな政府”競争をする気は無い」と発言した。小泉自民党政権がいわゆる市場万能の新自由主義路線を推し進め、勝ち組と負け組みが社会で鮮明化していることを背景とした主張だ。
榊原氏の主張は、前原代表の主張とは若干トーンが違った。氏曰く、民主党は明確に「小さな政府を目指す」と言い切ったほうが良い、というのだ。その理由として、英国もフランスもドイツも、そのような流れの中で社民党や労働党が政権を取り、社会福祉国家路線から決別した(「第三の道」)、と説明された。また、ノルウェーに代表される、小国・多資源国の北欧型は日本には無理だとも言われた。
まあ、民主党が政権を取ることが政治の目的なのではなく、国民の暮らしが今より良くなることが目的なのだから、他の国がそうしたからといって日本でもそうすべきという理屈はあまり説得力があるとも思えない。また、日ごろ小泉新自由主義の弊害を指摘している民主党にとっては、若干違和感のある考え方ともいえよう。要は、それを新自由主義と呼ぼうが、第三の道と呼ぼうが、社会弱者に対するセーフティーネットをしっかり整備する一方で、マーケットの力を出来る限り上手く利用していくという“総論”ではほとんど差が無い、というふうに私は感じている。一番難しい各論は、「過不足ないセーフティーネットを個別政策分野でどう作るか」ということだろう。
一つ具体例で興味深かったこと。民主党の二階建ての公的年金制度について、一階部分を消費税でやるのなら、そこは政府の仕事だが、二階部分を保険料でやるのなら、民間保険のほうがベターだといわれた。税金が絡むから政府、しかし積み立てや運用はそもそも民間が得意の分野(それを官がやるとロクなことがない)、という主張は非常に分かりやすい。実は、私自身、大学生だった頃、日本という国で公的年金制度があること自体に大変驚いたことをよく覚えている。年金掛け金を国に毎月義務として支払い、年老いた時に国から年金をもらう、などという制度は遠い社会主義の国の話だとばかり思っていたからだ。資本主義の国では、働けるときに懸命に働き、貯めたお金を自身の才覚で運用し、自己責任で老後に備える。学生時代にも、「甘くは無いぞ」と身の引き締まる思いがした。今日の榊原教授の話で、自分のあの頃の感じ方があながち素っ頓狂でないことを再確認出来た。そして、これからは社会はだんだんそうなっていくのだろうなとも感じる。いずれにせよ、このテーマは国のかたちの核心的なテーマであることは間違いない。
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