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政治的、科学的

 

先日金曜日に、私の母校のキャンパスを久しぶりに訪れ、農学部の教授にお目にかかった。BSEの研究をする食品安全委員会の委員にご教示願ったのだ。もともと今日から出発するはずの香港出張の事前情報収集の一環であったのだが、実に有意義なものだった。

話は特定危険部位やら全頭検査、BSE検査方法、脊椎・胸椎、腰椎の話、生誕月齢による検査、交叉汚染などなど多岐に渡ったが、一方でOIEやWHO、ECなどの組織の話にも及んだ。その先生は国際会議にも頻繁に出席されるのだが、なるほどと思ったのは米国の戦術だ。OIEという、世界の安全基準を定める団体において、米国は議長ポストを押さえるのだという。そしてまた、米国の主張という形をとらず、事前にメキシコとカナダを従えて、アメリカ大陸の見解という形で主張を展開するのだという。こうしないとEU・日本連合に押し切られるからなのだ。「科学的に」議論した内容とは異なる記述が、日本の委員の知らないうちに、最後の最後で静かに報告書に挿入されていたりということも間々あるようだ。要するに、全てはアメリカの国益のため、なのである。

日本でも道路公団民営化を検討した委員会など、同じ話をよく聞く。怒って委員会を蹴って出て行く委員もいたりするのも共通だ。要するに、「科学的」という建前のこういう委員会も、一皮めくれば「政治的」な妥協の産物に過ぎないのである。そして、それでも「科学的」という建前に沿って、人の口に入るものの輸出入が規制されたり、解禁されたりしているのだ。

民主党が先日日本で面会したクリークストーン社という中堅の食肉業者が、米国農務省を訴えた。全頭検査を「非科学的」として米国政府が認めようとしないのは違法である、という主張である。「科学的」かどうかが実は「政治的」に決まっているとすれば、「非科学的」とされるものも、「政治的」環境の変化で、やがてあるとき「科学的」とされる日が来るのかもしれない。

 
   
2006年4月2日
田嶋 要
 
 


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