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違法である理由

千葉七区の補欠選挙の前後に、「インターネットを選挙運動に利用することがなぜ違法なのですか」という趣旨の質問をいくつか頂戴した。せっかく私自身が公職選挙法改正に今取り組んでいるので、若干説明をさせていただきます。

「○○○はなぜ違法なのか」という質問に対する答えは、ある意味いつも共通である。ふざける意味ではなく、「違法ということに(国会で)決めているからである」、というのが回答である。もちろん、たとえば刑法の範疇の問題「人のものを盗むのはなぜ違法なのか」などとというのは、直感的にほとんどの人が異論がないわけだが、しかし問題が公職選挙法などとなってくると、違法にしている理由は必ずしも万人にとって自明ではない。

インターネットが現在の公職選挙法上なぜ違法なのか。インターネットを解禁すると、候補者への誹謗中傷や落選運動が激烈となり、健全な選挙運動そのものを阻害するというのが、建前上の禁止の理由でもある。ビラやハガキしか認められていない今の選挙でもそのような事態は起きているのだが、やはりインターネットの「無限の可能性」が一部の人に負の側面の「無限の危険性」を感じさせてしまうことも、解禁が実現しなかった理由の一部ではあろう。

だが、このような国民の視点よりも、もう少しドロドロとした党利党略も禁止の背景だと考えられる。つまり、インターネットを選挙活動に解禁してしまうと、今の選挙運動を前提に優位な立場にある政党・政治家が、形勢不利に追い込まれてしまう、そんな心配も出てくるわけだ。そうなるという可能性は100%でも0%でもないのだが、インターネットで可能となる新たな選挙運動の多様性、質的量的なものがとても大きいため、勢い解禁することに二の足を踏む政治家が多かったということだと思う。現に、民主党の出したインターネット法案は3度とも廃案となっている。

では、なぜ今になって解禁の機運が出てきたのか。ようやく与党にも改正に前向きな議員が増えてきたのがその理由だ。なぜか。それは昨年9月11日の総選挙である。あの選挙では、与党の方がブロガーはじめネットの世界をうまく利用して大勝に至ったというのが、一般的な分析・評価だ。インターネット解禁のプラス側面に与党も目覚めたということができよう。より正確に言うならば、健全な選挙運動という面でも、党利党略と言う面でも、解禁を是とする空気が醸成されつつあるということなのだろう。

あと一点、そもそも他の国はどうかとえば、よく比較される英米独仏韓、程度の差はあるが、五カ国とも原則的にインターネット選挙運動は昔から自由にできる。日本とはほぼ逆の状況である。なぜ日本だけが極端なのか。これだという理由はわからないが、一つ言えることは、日本では事実上自民党政権が一時期を除いて60年以上も続いてきたという特異性がある。他の制度と同様、選挙制度についても、既存の制度の恩恵を誰よりも得ているわけだ。であるならば、何も今の選挙運動を激変させうる「不安定要因」をわざわざ導入するメリットはなにもなかったのだ。

 
   
2006年5月3日
田嶋 要
 
 


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