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急ぐべきこと、急ぐべきでないこと

 「もう、どうにも止まらないー」なんて言っても私の世代以上の人にしか分からないだろうが、もうそんな山本リンダの歌が流行った高度経済成長時代の日本とは全く違う日本なのである。昨日発表された2005年の合計特殊出生率1.25は、またそのことを否応なく私たちの前に突きつけた。どうにも止まらぬ衝撃的な数字である。1.3あたりで底を打つなどという全く根拠のない話をかつて政府から聞かされ、そういう前提に立って今の年金制度が100年安心だというのだから、聞いて呆れる。さすがに慌てた政府が今になって「メッセージ性のある政策を」などと言っている。何だそりゃ?先進国で日本ほど少子化対策に力の入っていない国は少ない。そして合計特殊出生率と少子化への予算配分とは、みごとな正の相関関係が示されるのだ。完全に遅きに失しているが、今回こそは危機感をもって政府が対策を始めるよう働きかけて行きたい。今の日本が最も急ぐべきことである。

 急ぐべきことには力を入れず、急ぐべきでないことを無理やり法律を通そうとする。小泉政権の不可解さである。いま審議中の教育基本法もそうだが、あの共謀罪の議論も実になりふり構わぬ不見識なやり方である。昨日まで民主党案をあれほど非難していた与党が、突然「ベタ降り」で民主党案を呑むのだという。だから何としてもこの国会で成立させてくれ、とは余りにも国民を愚弄している。国会でのこれまでの答弁は何だったのか。しかも次の国会でさらに改正して、結局は与党案を実現するなどという話も聞こえてきた。継続審議になったのは、当然の帰結である。急ぐべきでないことは、決して急いではいけないのだ。そして国民の懸念の強さに背中を押され、少数野党がここまで踏ん張れたのは、実に意義深い成果である。

 話は変わるが、先日の韓国の投票曜日の件。調べてみた。やはり投票率を考えての施策だった。週末は遊びに行ってしまう。金曜や月曜でも週末とくっ付けて遠出してしまう家族も多い。だから、一番そういうリスクの小さい、週のど真ん中の水曜日なのである。しかも投票日ということで、会社なども全て国の施策として休みになる。韓国らしい大胆な試みである。ちなみに、日本のような週末が投票日というところが一番多い。韓国のように平日投票日というのは、多数はではなかった。こういう政策を見習うべきかどうか、急ぐべきかどうかは分からないが、投票率の低さが日本でも深刻な問題だけに、検討してみる価値はありそうだ。


 
   
2006年6月2日
田嶋 要
 
 


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