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死刑制度について

山口県光市で1999年に起きた殺人事件のニュースが最近連日に亘って大々的に報道さ
れた。この事件は当時18歳の被告が母子2 人を殺害したもので、その上告審判決が今月
の20日に言い渡されたのだ。被害者のご遺族である木村洋さんが判決後の記者会見で言
われたように、今回の判決は無期懲役が確定しなかったことが評価できるものの、死刑と
いう判決を出さずに高裁に差し戻しをしたという点は、最高裁の責任回避であり、残念だ
と思う。

この間、被害者ご主人の木村洋さんが必死に犯罪被害者対策の改革の先頭に立ち、ここま
で結果を出したことは本当にそのご努力と苦労に敬意を表したい。数限りない許し難い事
件が続く中で、多くの場合被害者ご遺族は長きに亘って生きる望みを失い悲嘆に暮れてお
られるであろう中で、この木村さんのような行動を続けるということは並大抵のことでは
ないと想像されるからだ。判決が出る前に読んだある記事によると、これまでの判決の通
例は、一人を殺した場合には無期懲役で、三人以上を殺した場合には死刑。だから今回の
二人を殺害したケースで最高裁がどういう判断をするかが注目される、ということだった
が、このような野次馬根性的な視点や機械的な判断は明らかにかけがいの無い愛する者を
失ったご遺族の感情を逆なでする。

時同じくして、日本よりももっともっと犯罪の多い国、フィリピンで死刑が廃止をされる
ことが決まった。廃止をしては凶悪犯罪がさらに増えるという懸念をよそに、カトリック
の影響の強い国としての決定である。アジアではカンボジア、東チモールに次いで三カ国
目ということだ。果たして、今後日本ではこの死刑制度はどうなるか?様々な論議がこれ
から起きるであろうが、当面は今の制度を無くするためのエネルギーは立法府では高まる
ことはなかろう。今後益々治安は悪化の一途を辿ると考えられる中で、死刑の廃止には根
強い抵抗があるものと考えるからだ。むしろ、死刑制度の価値を積極的に評価する空気が
支配的であり、現代の自然な国民感情にも合致する。唯一、死刑制度が廃止される可能性
がある場合があるとすれば、それはその時にはそれに替わって、いわゆる「終身刑」が導
入されることが検討をされる時であろう。今の無期懲役のように、実際にはしばらく刑に
服した後で凶悪犯が仮釈放されるような制度は、多くの国民感情からすれば到底承服しが
たいものであるからだ。



 
   
2006年6月24日
田嶋 要
 
 


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