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私の友人で、ベンチャー立ち上げに大成功し今や日本を背負うリーダーの一人になった者が、かつて会社を起こしてすぐの頃に、こんなことを言った。「リーダーシップとは、大多数の者にまだ見えていないものを、見せていく力がだ。」確かにベンチャーで成功する者には、時代の一歩先を見抜く先見性が不可欠だ。圧倒的に多くの人がその市場の将来性にまだ気が付いていないときに、いち早くそれを見抜く力だ。だが、それだけでは事業は大きくはならない。自分がそれを見抜き、そして次に、投資家や、社員や、銀行や、消費者や、取引先など、周囲の利害関係者に、その見えないものを見せていくことによって大きな力となっていくのだ。それは、説得活動の連続であるとも言える。古くは1985年に誕生したマイクロソフトのビルゲイツもそうだし、ヤフーにせよ、グーグルにせよ、あるいは日本のソニーにせよ、それは例外なく当てはまると思う。
実は、政治家に問われる資質も、全く同じだ。小沢代表の言う「政治とは生活である」になぞらえれば、「政治とは説得である」のだ。そして、さらに言えば、その資質には二つの側面があると思う。一つには、ビジョンを示すということだ。日本をこれからどんな社会にしてゆきたいか。どんな社会にすれば、多くの人がより幸せに感じられるか。それを自分の言葉で語り、それにより多くの国民が共感を得てゆかねばならない。二つには、危機に関して国民の目を覚まさせる力である。社会が今直面する危機は、実は多くの場合、津波のように直前まで目には見えにくい。そして、多くの国民がそれに気が付いた時には、手遅れの可能性が大きい。優れた政治家は、それが手遅れにならぬよう、国民に「見えないものを見せる」ことが決定的に重要だ。いずれも、説得活動の連続である。政治家にとっては「言葉が命」と言われる所以がここにある。
通常国会がまたスタートした。安倍さんの施政方針演説を聴いた。そして、予想はされたが、そこに心打つ言葉は見当たらなかった。今そこにある日本の危機、見えない危機を見せ、そして日本をこういう国にしていくという、見えない国の形を見せる。そのことに、ことしも微力ながら全力で取り組んでいく。
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