【かなめ日記】「障害者雇用と出所者雇用」

掲載日:2013.06.28

先日の法務委員会で私はいわゆる「協力雇用主」関連の質問をしました。協力雇用主とは矯正施設から出てきた人の雇用に協力をする民間企業のことで、現在約1万社あります。そして、そうした企業に雇用されている出所者は2000人弱。ところが、これら協力雇用主はそのほとんどが中小零細企業で、大企業や役所は全くといってよいほど、実績がありません。

制度は全く異なるものの、対策を講じなければ同じく偏見や差別で雇用環境が改善しないのが、障害者雇用です。ただ、この障害者雇用に関しては、民主党政権下で改善が進み、国が「法定雇用率」を定めて旗振りをし、役所でも民間でも、雇用が進んでいます。最近では、最も偏見が強かった精神障害者の雇用が実数では知的障害者を上回り、大きく伸びています。そして、特筆すべきは、この法定雇用率は、民間企業よりも役所の方が高い数値を法定されているということです。

ところが、出所者の雇用はどうかというと、こうした取り組みは障害者雇用に比べてはるかに遅れています。役所でこれまで雇用実績があるのは大阪市と吹田市の2自治体だけ、そして国に至っては本家本元の法務省が初めて先日、一人のトライアル雇用をしたばかりです。先日の谷垣大臣の答弁によれば、国家公務員法38条の欠格条項の壁もあるとのことでしたが、時代の要請で必要と認められれば、適宜法改正も必要です。罪を償って社会でやり直そうとするとき、その最大の受け皿は雇用であり、それがしっかりしないと、結局は再犯率が上がるという結果を招き、国民全体にとっての治安という面でも大きなマイナスになります。

この休会中に、地元で保護司や刑務官や法務局からもヒアリングをして実態をさらに調査し、必要ならば法改正も含めて今後の国会で提案していきます。また、千葉市とも協議をして、出所者のトライアル雇用の実現に向けて働きかけをしてまいります。

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