【かなめ日記】「原発と「海外インフラ輸出」」

掲載日:2011.12.20

今日は経済産業省と、今後のエネルギー政策・予算そして来年夏に取りまとめられるエネルギー基本計画の議論をしました。言うまでもなく、今は我が国そして世界のエネルギー政策、特に電力産業の在り方は歴史的転機にあるわけで、とくに原発事故を起こした日本の電力産業の今後の方向性には、世界が注目をしています。基本的には4本柱であり、第一に再生可能エネルギー事業を我が国の今後の復興と成長のエンジンとして最速スピードで立ち上げていくこと、第二に、そうは言っても当面の発電の主力である化石燃料エネルギー事業の技術革新を進め、CO2削減を推し進めること(この分野での我が国の世界への使命と貢献は大きい)、第三に原発の安全性を根本から見直すこと、そして第四に省エネ技術を推進して電力消費を抑えていくこと、から成ります。もちろん、現在、原発の監督官庁である保安院の抜本的見直しなども検討が進められています。

一つ、私がさらに政府としての方向性を明確にすべきと考えているのが、官民海外インフラ輸出の旗頭であった原発輸出を今後どうするか、の問題です。これは、野田総理もすでに、我が国政府として原子力協定はじめ何らかのコミットをしている国については今後も継続する、という趣旨の答弁を国会でされています。恐らくは、ベトナム・トルコ・ヨルダンあたりが視野に入っているのだと思います。逆に、これからまったく新規に他国に我が国技術の原発を売り込むことを官民挙げて行うことはない、という趣旨の答弁もありました。ただ、これではまだ曖昧な部分が多く、たとえばインドはどうするのか、カザフスタンはどうするのか、よくわかりません。3.11の前には海外インフラ輸出の筆頭に想定されていたものが原発輸出だったわけですから、東芝や日立のような民間企業の戦略にも大きな影響を与える政府のスタンスは明確にすべきだと思います。

これだけの大惨事が我が国に起こっても、他国の原発はそう簡単にはなくなりません。新設も止まりません。お隣の中国だけでも、2020年までに新設60基と言われています。世界唯一の被爆国として核廃絶を訴えるのになぞらえて、我が国は原発ストップを世界に伝道すべしという意見があるのも事実ですが、現実的には、我が国が今回の大惨事から学んだ教訓を徹底的に記録として残し、それを国際機関とも連携して世界共通の財産として役立て、当面無くなることはない世界とくにアジア諸国の原発に、我が国として安全技術面での大きな関与をしていくことが、地に足の着いた、そして我が国国民の生命と財産を守るという点で、最善のアプローチではないかと考えます。

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