【かなめ日記】「再審決定の意味するもの」

掲載日:2014.04.07

党の国際局長となって以来、多くの駐日大使や公使の方々にお目にかかっている。彼らはそれぞれ自国を代表して日本に駐在しているため、例えばアイスランドは地熱発電を熱心に売り込んでくるし、カナダは日本人留学生、特に治安の良さを売り物に、女子留学生の獲得に力が入っている。また、東日本大震災後に多大なご支援を頂いた台湾は、今年は故宮博物院の展示を東京と福岡で予定しており、日本との更なる信頼関係の醸成に腐心している。

こんな中、特質すべきは英国である。英国は、自国の強みを売り込むというよりは、大使が先頭に立って日本に根源的な制度改革を迫ってきている。それは死刑制度の見直しである。英国はEU加盟国だが、EUは、死刑制度を廃止することが加盟の必須条件となっている。かつて死刑制度が存在した英国は、死刑執行後に真犯人が現れるという、取り返しのつかない悲劇を経験し、長い年月の議論の末、制度の廃止を選択した。そして今や、先進国で死刑執行を続けている国は(米国の一部の州を除き)日本だけとなっているのである。

先日、袴田事件の元死刑囚の再審決定、そして同日の釈放が大きく報道された。静岡地裁は、「捏造」の可能性にまで言及し、当時の警察・検察を強く指弾した。袴田さんは、その人生の半世紀近くを、死刑囚として刑事施設内で過ごしたのである。英国の悲劇を日本が繰り返す前に、一日も早く、終身刑制度の導入検討を含めた、死刑制度に関する国民的議論を始めなければならない。

法務省によれば、現在、日本には確定死刑囚が131人がいる。そして、そのうち半数以上に再審請求が出されている。

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