【かなめ日記】「核利用と原子力協定」

掲載日:2014.04.07

先日の衆議院で、トルコ及びUAEのそれぞれと我が国とが結ぶ原子力協定が、賛成多数で可決されました。与党に加え民主党も賛成で臨みました。ただ、この採決は誠に苦渋の選択でありました。

まず、協定に賛成をした理由は、この協定が核不拡散と核の平和利用をより強固にするものだからです。我が国が結ぶ協定の中身は、例えばロシアや中国、韓国が結ぶ協定の中身に比べ、核利用に強い制約を設けています。3.11のあと、民主党政権の時代に、既に私たちはヨルダンなどとの原子力協定を結びましたが、この枠組みの中にトルコやUAEも組み込むことは、核と共存する国際社会の平和のために大義があります。

他方、苦渋の選択だという理由は、この原子力協定が事実上、日本の原発技術を当該国へ輸出することに繋がる可能性が高いからです。もちろん、仮に日本から輸出を止めても、現実にはロシアなどが代わって輸出をすることになるだけです。ただ、福島原発事故の現状を考えれば、原発の輸出について我が国は極めて慎重であるべきなのは言うまでもありません。

民主党は党の方針として、2030年代までに原発ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入する、と決めています。このことは今も全くブレていません。ただし、そうした社会を一日も早く実現するための、いわば過渡的電源としての原発の利用や再稼働の可能性は必ずしも否定していません。そして、国際社会の中では、多くの国々との間で結んできた原子力協定の枠組みにより、核不拡散を確実に担保しながら、一日も早くまず日本から、原発に依存せずとも発展できる社会モデルを作り上げる。そして、そのモデルをアジアはじめ世界中に水平展開して行くことを、21世紀の我が国の、国際社会における国家使命として行きたいと考えています。

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