【現地本部長日記】「原発行動隊とモモの話」

掲載日:2011.08.12

【現地本部長日記】「原発行動隊とモモの話」

今朝、「原発行動隊」なる団体の代表者の方々が私を本部長室に訪ねて来られました。技術者として様々な分野で活躍をしてこられた退職者だけから成る有志の集まりで、今回の原発事故の収束・被災者支援のために何か役に立ちたいとお申し出をされました。大変嬉しく思います。その心は、「若い世代を少しでも被ばくさせないためには、60歳以上の自分たちが被ばくする任務を買って出る必要がある」そんな思いなのです。頭では分かっていても、中々行動に示せるものではありません。

いま、福島県のモモの出荷の最盛期です。今年は特に甘さが良いそうです。私は着任してからよく頂いていますが、家族にも送り、そして親戚知人からもリクエストを受けて郵送したりしています。立場上、果物の放射性物質の検査結果も毎日報告を受けていますが、福島県のモモは、暫定規制値(キロ当たり500Bq)を超えた検出は今のところありません。でも、一部ネット上で不正確なことが流布されていますが、「不検出」という発表ばかりだというのも事実ではありません。5月14日からモモの測定を始め、6月25日にセシウムが検出をされました。その後も測定を続けていますが、検査結果は、不検出も検出もあり、検出されるケースでは大体はセシウム134と137の合計値でキロ当たり数10Bqくらいです(厚生労働省のURL=http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001h9fm-att/2r9852000001h9jo.xls)。

暫定基準値を大きく下回っているので全く安心です、と言って福島の農家もお店も必死で頑張っているのですが、売れ行きはそれでも厳しいようです。暫定基準値を下回っていると言っても、他県産のモモもあるのだから、わざわざ福島のモモを買う必要はないと考える人もいれば、そもそも国の暫定基準値が信用できないという人もいるかもしれません。しかし、それでも少しは応援していただきたいのです。原発行動隊は中々できるものではありませんが、この夏、一度だけでも福島県のモモを食べて、理不尽な原発災害に苦しむ福島の方々に声援を送って頂きたいのです。

モモをリクエストした私の姉から今日メールが届きました。とても甘かったそうです。そして、そのモモの箱には福島市在住の詩人、和合亮一さんの作品、「決意」という詩が書かれた紙が入れられていたそうです。「涙が出てきた」と姉は言っていました。時節はお盆に入ります。

「決意」
和合亮一作

福島に風は吹く
福島に星は瞬く
福島に木は芽吹く
福島に花は咲く
福島に生きる

福島を生きる
福島を愛する
福島をあきらめない
福島を信ずる
福島を歩く

福島の名を呼ぶ
福島を誇りに思う
福島を子どもたちに手渡す
福島を抱きしめる

福島と共に涙を流す

福島に泣く
福島が泣く
福島と泣く
福島で泣く

福島は私です
福島は故郷です
福島は人生です
福島はあなたです

福島は父と母です
福島は子どもたちです
福島は青空です
福島は雲です

福島を守る
福島を取り戻す
福島は手の中に
福島を生きる

福島に生きる
福島を生きる

福島で生きる
福島を生きる

福島で生きる
福島を生きる

関連記事

記事はありません