韓国といえば最近では日本でも話題が多く、海外旅行人気ナンバー1の訪問国でもある。また韓国企業の中には日本や欧米企業をしのぐサムスングループのようなグローバルな企業も多い。そんな韓国のイメージからは想像しにくいが、実はあの国には今でも徴兵制がある。成人男性は原則全て2年から2年6ヶ月程度の期間、学業や仕事を離れ、隔絶した世界での兵役を全うしなければならない。東京と同じような大都会を、日本人と同じような服装で闊歩する若者があふれる隣国に、今の日本では想像できない社会制度があることに不思議な感じがしていたが、昨日、その徴兵制が今大きく揺れているという内容のTV番組を見た。裕福な家庭の子供たちや芸能人やプロスポーツ選手が、違法に兵役義務を免れる例が後を絶たないのだという。今でもアンケートをとれば、韓国国民のほとんどは、建前としては国防の為に兵役義務を果たすことが当然だと考えている。しかし、どうやら本音のところでは、豊かになって戦争が身近に感じなくなった若者世代が、徴兵制に疑問を持ち始めている、ということらしい。
徴兵制を是とする人々の中には、その教育的側面を評価する声もあるようだ。兵役を果たすことで、人間としてしっかりとした人格等が形成される、というものだ。昔の日本でもそんな言われ方をしたことがあった。しかし、教育的な側面というだけで徴兵制を肯定するには、余りにも人生の代償が大きすぎる、というのが沸々と沸いている韓国の若者の疑問らしい。もちろん、海に囲まれた日本とはまったく違う、地政学的にも国防ということがずっとずっと切実な問題である韓国のことを、日本人が現実感を持って想像するのは難しいし、だからこそあの韓国で徴兵制が無くなるということは短期的には考えにくい。ただ、確かに、豊かになって、世界の誰も兵役を望まない(徴兵制であれ志願兵であれ)社会を作るということが、実現可能性は別としても、人類の目指す方向といえばそれも確かにそんな気もする。国防を全く米国に頼りきってきて戦後をしのいできたわが国とは180度違う悩みを抱える韓国の社会であるが、少なくとも言えることは、両国とも、若い世代の意識・価値観の変化を踏まえて、これからの現実的な国防議論を活性化していかねばならないということだ。
余談であるが、日本の若者に福祉の現場での奉仕を一定期間義務付けたらどうかという議論が地元でも結構出る。1年間くらい、10代の多感な時期に、机上の勉強のカリキュラムを少し遅らせてでも、得るものは失うものを補って余りあるのではないか。国政の場でも教育がこれから真剣に議論されねばならない時期に来ているが、「教育の現場」が直面する様々な課題の糸口は、実は「福祉の現場」にあるのではないかと私は思っている。
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